「おちこんだりもするけれど、私は元気です」13歳の魔女キキの成長を描く

『魔女の宅急便』はスタジオジブリ作品の中でも1、2を争う名作だと思う。

宮崎アニメの独特のテイストで、13歳という多感な少女キキの気持ちがリアルに伝わってくる。
自分自身もこの歳の頃があり、同じように毎日の生活で喜んだり、落ち込んだり、行き詰まったりした。よく分からない理由で友達が急に嫌いになったり、今まで順調だったことが突然うまくいかなくなったり…

それゆえにこの『魔女の宅急便』を観ると、誰もが体験したあの頃の気持ちを思い出させてくれる。

魔法が使えなくなっているにもかかわらず、トンボを助けるためにデッキブラシにまたがり、「飛べ！」という言葉とともに飛び上がれたシーン。
いうことを聞かないデッキブラシに乗りながら、なんとかトンボの手を掴もうとするが、なかなか掴めず落ちてしまい、もうだめだと“無音”になったその瞬間、パシッと手を掴まえるシーン。
どっちも大好きなシーンです。

ユーミンの歌がまたいい！
オープニングの『ルージュの伝言』も、これから始まる新たな生活の期待感をいっそう盛り上げ、ワクワクさせる。エンディングの『やさしさに包まれたなら』も、小さい頃の複雑で純粋な気持ちを思い出させてくれて、とてもやさしい気持ちにさせてくれる。

なにかと忙しく、世知辛い世の中に疲れたり、落ち込んだりした時に、この『魔女の宅急便』を観ると、心を洗浄し癒してくれる。
そんな貴重な作品だと思う。

【あらすじ】
13歳になると修行のため家を出て生活するしきたりのため、新しく生活する街を探しに、黒猫のジジを連れて旅に出る魔女のキキ。
ほうきで空を飛ぶことしか特技が無いキキは、新しく見つけた街で空飛ぶ宅急便をはじめる。友達のトンボ・居候先のおソノさん・街の人など様々な人たちと出会い、落ち込んだりもしながら成長していく。

【監督】　宮崎駿

【出演】
キキ … 高山みなみ
ジジ … 佐久間レイ
トンボ … 山口勝平
おソノ … 戸田恵子