この本の素晴らしさや価値は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』というタイトルをつけたときに、もう全て決まったと思う。
人の興味や関心をくすぐる絶妙のキャッチコピーだと思う。かくいう自分も、なんでさおだけ屋は潰れないのだろうと、考えれば考えるほど気になって、会計の入門書だということをよく知らないで購入してしまった。
よくタイトルが気になって買ってみたが、読んでみるとタイトルと内容が大きくかけ離れていたり、大して面白くなかったという本があるが、この『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』に関しては、内容もわかりやすくとても面白かった。
会計学の専門書は、実際自分も読んだことがあるが、「貸借対照表」「損益計算書」「売掛金」「買掛金」など難しい単語が並んでいてチンプンカンプンだった。この本は、日常生活にある身近な疑問を切り口に話が進んでいくため、最終的にたどり着く先は「貸借対照表」「損益計算書」「売掛金」「買掛金」というところになるのだが、その一つ一つに対してイメージがわきとても読みやすい。
プロローグで書いてあるように、実際の会計学は難しい学問だと思うし、それをやさしくするのには限界があると思う。ただ、その難解な会計学を多くの人が、身近に感じるようにするためのアプローチ本として考えたとき、こんなにわかりやすく入り込みやすい本は他にないでしょう。
個人的に読んでいて、「なるほどこの考え方は面白い!」という内容があったので、そのほんの一部を載せてみます。興味があったら詳しく読んでみて下さい。
◇節約は絶対値で考える
@1000円のモノを500円で買う(50%引き) A101万円のモノを100万円で買う(1%弱の値引き)
ふたつの例のうち得したと感じるのは?そして実際どちらが得をしているだろう?
→費用の削減はパーセンテージで考えるべきものではなく、絶対値で考えるべきもの
◇数字のセンス
「50人に1人が無料」キャッシュバックキャンペーン実施中
→安くする側から見ると、実際は2%の値引きと同じ意味。3割・4割あたり前の世の中で「2%引き」なら、「50人に1人が無料」のほうが輝きを増す。そして、その効果も人に与えるイメージも格段である。
こんな話が具体的に、そして論理的に書かれているので読んでいてためになるし、飽きません!
【著者】 山田真哉
【出版社】 光文社
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