『アメーバ経営』とは、京セラの稲盛和夫が提唱した経営管理手法で、大きな組織をリーダーを中心とした独立採算制の小集団に分け、その小さな組織と共同経営するような形をとり、全員参加経営を実現する経営管理手法です。
これにより社員一人ひとりが主役となり、自然に経営意識を持ったリーダーが育つという、すばらしい会社経営の仕組みです。
実際、京セラはこの『アメーバ経営』により、高収益経営を行い成功しているので、上手く機能すればすばらしい経営システムだと思います。
しかし、本書を読んで感じたのは、ただこの経営管理手法だけをまねしても、なかなか上手くはいかないだろうということです。
『アメーバ経営』の根幹であり、最も重要な部分は、システムや仕組みよりも、稲盛和夫の哲学の徹底であったり、周りの人を動かすリーダーシップであったり、人を引き込んでやる気にさせていくカリスマだったり熱意だったりするのではないかと思います。
「仏作って魂入れず」ではないですが、経営トップが、その哲学やリーダーシップ・カリスマ・熱意などをなおざりにして、経営システムの形だけを導入すれば、社員のモチベーションの低下やアメーバ組織間のトラブルを引き起こし、状況が悪化する可能性すらあると思います。
「ひとりひとりの社員が主役」とあるように、人の気持ちとシステムが融合した時、この『アメーバ経営』はとてつもない力を発揮する経営手法ではないかと感じました。
【著者】 稲盛和夫
【出版社】 日本経済新聞社